訪問記:Fräulein Brösels Schnapserwachen

訪問記:Fräulein Brösels Schnapserwachen

SugawaraTakuma

普段はマツザワ君が綴っているこのブログですが、今回は菅原がお届けします。

2025年5月26日から6月1日までの5泊6日で、ドイツを訪れました。
行程はフランクフルトからベルリンへ。毎度おなじみ、上海・浦東経由です。

フランクフルトを訪れた目的は、映画祭Nippon Connection。
同僚のヤザキ君が関わった短編映画が上映されることになり、彼の晴れ舞台に同行しました(ですので今回は写真の質がいつもより良いです)。

その後、東へと移動しベルリンへ。
今回の旅のもう一つの大きな目的は、Fräulein Brösels Schnapserwachen(フロイライン・ブロセルズ・シュナプサーヴァッヘン)の生みの親であるStefanie Drobits(ステファニー・ドロビッツ)さんに会うことでした。
Fräulein Bröselsを初めて日本に輸入したのは2022年。その時の出会いの様子はこちらから御覧ください。
そこから3年を経て、ようやく直接お会いすることが叶いました。


EU最大の経済大国であるドイツは国土も広く、今回はフランクフルトからベルリンまで夜行列車での弾丸移動。
残念ながらお互いのスケジュールの都合で、郊外にある蒸溜所の訪問は次回に持ち越しとなりました。
早朝のベルリン中央駅

この日は素晴らしい天気に恵まれ、Fräulein Brösels社のミニバンで迎えに来てくれベルリンの拠点や彼女のシュナップスを扱う飲食店にお腹がはち切れるまで案内してもらいました。挨拶もそこそこにツアーはスタート。このミニバンでベルリンの顧客にお酒を届けたり、蒸溜所へも向かうのだそう。



車を走らせること20分ほどで「ベルリンらしさ」を象徴する文化的中心部Kreuzberg(クロイツベルク)地区に来ました。歴史的に倉庫として使用されてきた巨大な建造物に到着し、中に入るとそこは多くのスタジオ、店舗、オフィスなどがひしめく複合施設でした。
Fräulein Bröselsのベルリンの拠点はその一角にあり、ついに入口までたどり着いたときは、遂にこれた、、と感動を覚えました。



自称「日本で一番のFräulein Bröselsのファン」である私たちonewにとって、この場所に来ることは大きな意味を持っていました。試飲ルームは、かつてベルリンに存在したクラブの建材や、街の店の看板、パレットなどで構成されており、このブランドの世界観を見事に体現した空間でした。
薄暗い照明のなか、日本への輸入が叶わない多くのボトルや、数々の試作品を試飲させていただきました。その過程で伺った、彼女のものづくりに対する哲学や考え方は、単に美味しいシュナップスを作ることではなく、自身が描く世界観そのものをいかに製品に落とし込むかという強い意志に貫かれていました。



試作品のボトルには、無機質なラベルは貼られておらず、理想とする味わいを象徴するステッカーがコラージュされていたり、製品の表側だけでなく、その裏側に至るまで、彼女の思考が及んでいたことに深く驚かされました。

今回試飲した中で、ひときわ異彩を放っていたのがヴェルモットです。
このヴェルモットのプロジェクトはドイツのガストロノミーの最前線で活躍するソムリエ Sharin Polteさん、チェコ随一のナチュラルワイン生産者Petr Korabさん、そしてStefanieさんの初の挑戦的なコラボレーションプロジェクトとのことでした。

ワイン(ブラウフレンキッシュとピノ・ノワール)はこのヴェルモットの為だけに作られた特別なキュヴェで、彼らが畑に立ち、収穫し、仕込みまで手がけたそうです。
また、このワインで作ったブランデーやローワンベリー(ナナカマド)のシュナップスを加え、様々なハーブやスパイスを漬け込み、こだわり抜いて作った自信作とのことで、複雑さと遊び心、クラフトの精神がそのまま液体になったような仕上がりでした。
もちろん私だけでは判断できかねるので、マツザワ君に日本で試飲できるよう小瓶で持って帰りました。


試作段階のヴェルモット

彼女の味わいを主に構成する原材料に対するこだわりは凄まじく、ヨーロッパ中の素晴らしい農作物の生産者とつながり、多くのコストをかけながら、納得のゆく作品に仕上げるまで数々のサンプルを試作します(イエローラズベリーに至っては、このシュナップスのために、忘れられた品種を2年かけて専用栽培する熱量)。
ステファニーさんはまさに再定義の真っ只中にあるシュナップス界における新進気鋭のアーティストだと感じました。その世界観は味わいにとどまらず、ボトルに直接プリントされた絵、試飲ルームの随所にも表れていました。
ベルリンの飲食業界でトレンドを牽引する多くのレストランやバーと積極的にコラボレーションし、シュナップスを軸に新しい飲食体験の可能性を提案し続けています。
今回案内いただいた多くの飲食店がなぜFräulein Bröselsのシュナップスをラインナップに加えているのか、よく分かりました。

素晴らしい料理とともにいただいたアプリコットシュナップス@tulus lotrek


テラス席でさっぱりといただいたナナカマドシュナップスのトニック割。個人的に一番ドストライクな飲み方@EI-12437-B

ベルリン・テクノは無形文化遺産となり、ベルグハインは重要文化財として法的に保護されるようなユニークな街、ベルリン。
個人的な考えですが、この街はヨーロッパの中で最も「実験すること自体が価値になる街」の一つだと思います。若いアーティストや移民が集まり、試行錯誤を重ねながら街そのものを形づくってきた場所。そんなベルリンでステファニーさんが活躍していることは、とても必然的に感じられました。

これは、筆者が11年前にイーストサイドギャラリー(ベルリンの壁)で撮ったお気に入りの一枚。

やはり、多くの蒸溜所で高品質なお酒を造る人々に共通しているのは、理論や手法は違えど、確かな哲学を持っていることだと思います。
経験と適切な工程があれば美味しいお酒は造れるかもしれませんが、数多くのアプローチの中で、自分の核となるこだわりを、製品として明確に体現しているお酒に出会える機会は、決して多くありません。
今回の訪問を通して、onewで取り扱わせていただく基準を、改めて再認識しました。



最後に、、
今回ご案内いただいた素敵なレストランはこちらです。
EI-12437-B(残念ながら今年をもって営業が終了とのことです。。)
Orania.Restaurant & Orania.Bar(ミシュランガイド)
tulus lotrek (ミシュランガイド)
NAUTA Berlin
いずれもコンセプト、料理の独自性、そして味わいが素晴らしいレストランでした。
ベルリンを訪れる機会があれば、ぜひFräulein Bröselsの美酒とともに体験してみてください!



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